2026/2/25

勘違いされやすい「ノンバイナリー」と「クエスチョニング」

性の多様性が広く知られるようになり、LGBTQ+という言葉も社会に浸透してきました。
しかしその一方で、「言葉だけが先に広がり、意味が曖昧なまま使われてしまう」という現象も起きています。
 
KMAに相談に来られた方からも、最近とても増えている質問があります。
それが「ノンバイナリーって何ですか?」「クエスチョニングとは違うんですか?」というものです。
 
どちらも大切な概念ですが、誤解されやすい領域でもあります。
そして、婚活を考えるLGBTQ+の方にとっては、
「自分はどこに当てはまるのか」
「どう説明したらいいのか」
「婚活してもいいのか」
と、不安につながりやすい部分でもあります。
 
今回は、KMAに相談に来られた方々の実情とともに、ノンバイナリーとクエスチョニングの違いを丁寧にお伝えしていきます。
 
ノンバイナリーの旗のイラストと、性自認に迷う男性の疑問符付きシルエットを並べ、ノンバイナリーとクエスチョニングの違いを視覚的に示した図解。
  

■ノンバイナリーとは?

 
ノンバイナリーとは、「男性」「女性」という二択に当てはまらない性自認のことです。
ここで大切なのは、「中間」という意味ではない、ということ。
もっと広く、もっと自由な概念です。
 

●ノンバイナリーの例

  • 男性でも女性でもない
  • どちらかの日もあれば、どちらでもない日もある
  • 性別という枠組みそのものに違和感がある
  • 「分類」されることが苦しい
見た目や服装とは関係ありません。
中性的なファッションだからノンバイナリー、というわけではないのです。
 

●よくある誤解

  • 「どちらかを選べないだけ?」
→ 選べないのではなく、“自分の性が二択では表せない”という確信がある
  • 「見た目が中性的な人のこと?」
→ 外見とは無関係
 

●ノンバイナリーの方の実情

  • 「戸籍の性別欄を見ると、胸がざわざわする」
  • 「相手にどう伝えたらいいか分からない」
  • 「自分の性別を説明するのが苦手」
ノンバイナリーの方は、自分の性自認を『すでに理解している』ケースが多いです。
ただ、それを言葉にするのが難しかったり、周囲に説明するのが負担だったりすることがあります。
 

過去の相談で実際にあったやり取りの例①

 

外見と性自認のギャップに悩む相談者の声

 
『…見た目が中性的なので、周りからトランスジェンダーとか、ゲイとか、よく言われるんです。でも、自分の感覚はそうじゃなくて、“男性でも女性でもない”という感覚が一番しっくりくるんですけど、うまく伝えられないので理解してもらえなくて…』

「外見と性自認は別のものなので、ご自身がどう感じているかが、一番大切ですよ。」とお伝えしました。 

婚活の場でどの区分で活動するかという現実的な選択

 
性的指向(どの性に魅力を感じるか)は女性で、恋愛関係や将来的な家族形成も望んでいるとのご希望でした。 その条件だと、まずは「一般的な結婚相談所(男女間の結婚相談所)」で活動される方が可能性が広がるのですが、その場合「男性」という『区分け』になります。 そのことをご理解いただき、入会していただきました。
 

プロフィールでの伝え方と、交際に進んでからの工夫

 
プロフィール上で説明するのはとても難しいので、「男女の壁を越えて、一人の人間として尊重し合える関係になりたい」と記載することに。 交際に入ったら、少しずつ話題にして理解してもらう作戦をたてました。

もちろん最初から上手くいくわけではないので、お見合いで終わってしまうこともあったり、初デートで終わってしまうこともありました。 でもその度に「内側の感覚を尊重してくれるお相手は必ずいます。一緒に探していきましょうね。」と、進み続けています。

今はお二人と仮交際に入っています。 理解してもらうまでには時間が掛かるかもしれませんが、それでも行動することが大切ですね。 

ノンバイナリーを公表した著名人の存在が与える安心感

 
ノンバイナリーの方は、日本ではまだ多くありませんが、シンガーソングライターの宇多田ヒカルさんが、自身の性自認について「ノンバイナリーである」と公表しています。 インタビューの中で、「自分は男性でも女性でもない」という感覚を自然に語っており、性別を二択で捉えないスタンスを明確に示しています。

宇多田ヒカルさんの発信は、「性別を決めつけられない生き方」が特別なことではなく、もっと自由で自然なものだと感じさせてくれます。 有名人が公表することで、「自分もこのままでいいんだ」と安心できる方も多いのではないでしょうか。 

ノンバイナリーという生き方が示すもの

 
ノンバイナリーは、「男性・女性のどちらかに当てはまらない」というだけでなく、「自分らしい性のあり方を大切にする」という考え方でもあります。 宇多田ヒカルさんの言葉は、その象徴のように感じます。
 

■ クエスチョニングとは?

 
クエスチョニングとは、自分の性自認や性的指向がまだはっきりしていない状態のことです。
「決めていない」「決められない」「決めたくない」どれも自然なことです。
 

● クエスチョニングの例

 
  • 自分がどの性に惹かれるのか分からない
  • 自分の性別に違和感があるが、言葉にできない
  • ラベルをつけることに抵抗がある
  • 今はまだ探している途中
 

● よくある誤解

 
  • 「迷っているだけ?」
  • → 迷いではなく、“探求”
  • 「そのうち決まるんでしょ?」
    → 決めなくてもいい 

● クエスチョニングの方の実情

 
  • 「自分がどこに属するのか分からない」
  • 「婚活していいのか不安」
  • 「相手にどう説明すればいいのか分からない」
クエスチョニングの方は、性自認や指向が“揺らいでいる”状態です。
その揺らぎは悪いことではなく、むしろ自然なプロセスです。
 

過去の相談で実際にあったやり取りの例②

 

恋愛感情が分からず「婚活していいのか」迷う相談者の声

 
『自分自身のことがよく分からないんです…。芸能人では男性に魅力を感じることが多いのですが、恋愛感情そのものがまだよく分からなくて…。ネットなどの情報では、理想や条件を明確にしないと婚活はうまくいかないとあったので、こんな状態で婚活していいのか、不安で…。』

「分からないままでも大丈夫ですよ!婚活しながら、自分の気持ちを知っていく人も多いです。大切なのは“誰かとつながりたい”と思っている気持ちです。その気持ちがあれば、婚活は始められます。」とお伝えしました。 

家族を安心させたいという思いから選んだ婚活のスタート

 
『両親を安心させたいから、入籍して家族をもって子供も欲しい』とのことで、「一般的な結婚相談所(男女間の結婚相談所)」への入会をご希望されました。

活動を始めてしばらく経ちますが、「話していて安心できる人」「一緒にいて自然体でいられる人」に好意を持つようになり、「私は“人柄”に惹かれるタイプなんだ」と気づいたそうです。 ゆっくりペースですが、これだけでも大きな一歩です。 

クエスチョニングが公表されにくい理由と、その背景

 
実は、クエスチョニングは、「まだ決めていない」「決めたくない」「探している途中」という状態を指すため、芸能人でも公表する人は多くありません。 途中経過をあえて言語化しない方も多く、海外でも「クエスチョニング」と明確に名乗る文化はあまり一般的ではありません。

その中で、日本ではタレントの「りんごちゃん」が、自身の性について「性別を定めていない」「概念がない」と語っており、これはクエスチョニングに近いスタンスとして紹介されています。 囲み取材で「りんごちゃんはりんごちゃんです!」と答えたことが話題になりましたが、この言葉には「無理に決めなくていい」「私は私でいい」というメッセージが込められているように感じます。

性自認は“決めてもいいし、決めなくてもいい”という自然なプロセス

 
クエスチョニングの方が公表しにくいのは、「まだ探している途中」という繊細な状態だからこそ。 そして、それは決して悪いことではありません。

性自認は、人生の中でゆっくり育っていくもの。 決めてもいいし、決めなくてもいい。 その途中にいること自体が、自然で尊いプロセスなのです。

■ ノンバイナリーとクエスチョニングの違い

 
一番大きな違いは “確信度” です。
 

● ノンバイナリー

 
→ 自分の性自認が「二択ではない」と分かっている
 

● クエスチョニング

 
→ まだ探している途中
ただし、どちらが良い・悪いという話ではありません。
性自認は固定ではなく、変化することもあります。
人生の中で揺らぐこともあります。
大切なのは、
  • 「自分がどう感じているか」
  • 「どんな関係を築きたいか」
という部分です。
 

■ 婚活の現場で起きやすい誤解と困りごと

 
ノンバイナリーやクエスチョニングの方が婚活を考えるとき、こんな不安が出てきます。
  • 「相手にどう伝えればいい?」
  • 「プロフィールに書くべき?」
  • 「理解されないのが怖い」
 「自分の性が揺らいでいるのに婚活していいの?」
KMAでは、こうした不安を抱える方がとても多いです。
そして、私たちが大切にしているのは “無理に決めさせない” という姿勢です。
性自認や指向は、本人のペースで育っていくもの。
婚活のために急いで決める必要はありません。
 

■ KMAが大切にしているサポート姿勢

 

① 性の揺らぎを否定しない

 
「分からない」も立派な状態です。
安心して話せる場をつくります。
 

② ラベルを押しつけない

 
“あなたはこうですよね?”と決めつけることはしません。
 

③ 本人のペースを尊重

 
急がせない、焦らせない。
婚活は「自分を知る旅」でもあります。
 

④ どんな関係を築きたいかを一緒に整理

 
性自認よりも、
「どんなパートナーシップを望むか」
「どんな生活を送りたいか」
が婚活では重要です。
 

⑤ お相手への伝え方もサポート

 
伝えるタイミング、言葉の選び方、相手の理解度に合わせた説明など、
カウンセラーが一緒に考えます。
 

■ まとめ:性の多様性は“分からない”も含めて多様

 
ノンバイナリーもクエスチョニングも、どちらも自然な在り方です。
そして、どちらも婚活をしてはいけない理由にはなりません。
性自認は、人生の中でゆっくり育っていくもの。
揺らぎがあってもいいし、決めなくてもいい。
 
大切なのは、
「自分がどう生きたいか」
「どんな関係を築きたいか」
という部分です。
 
KMAは、あなたに寄り添う存在でありたいと思っています。
安心して話せる場所があること。
理解してくれる人がいること。
それだけで、婚活はぐっと楽になります。
あなたのペースで、あなたらしい未来を一緒に見つけていきましょう。
 

このブログを書いた人

 
埼玉県さいたま市のLGBTQ+結婚相談所KMA・株式会社KMA
認定婚活カウンセラー 清水小百里
 

メッセージ

 
LGBTQ+について「知ること」は、自分自身や大切な人との関係を見つめ直すきっかけになります。  

そして、自分らしい生き方を大切にしたいと願う方にとって、パートナーとの出会いは人生を豊かにする大切な一歩です。
 
株式会社KMAでは、LGBTQ+の方々が安心して婚活できる環境を整え、全国規模で「生涯のパートナー探し」をサポートしています。  

さいたま市のパートナーシップ宣誓制度のような地域の取り組みとも連携しながら、誰もが自分らしく生きられる社会づくりに貢献しています。
 
「誰にも言えなかった気持ちに、そっと寄り添う」  

そんな想いで、婚活カウンセラーとして20年以上活動を続けています。
 
LGBTQ+の方の婚活に関するご相談は、LINEやホームページからお気軽にどうぞ。  
無料カウンセリングも実施中です。
 
カウンセラー清水小百里
 

保有資格(一部抜粋)

 
  • 心理カウンセリング1級/コーチング1級(内閣総理大臣認証NPO)
  • ダイバーシティ研修認定講師(日本LGBTサポート協会)
  • JLCA認定婚活カウンセラー/マル適マークCMS取得
 

所属連盟・協会

  • 株式会社IBJ
  • 株式会社BIU
  • 日本仲人連盟(NNR)
  • 一般社団法人 日本仲人婚活支援協会
  • 一般社団法人 結婚相談業サポート協会(MCSA)
  • 特定非営利活動法人 日本ライフデザインカウンセラー協会(JLCA)
  • SAITAMA出会いサポートセンター運営協議会
  • 一般社団法人日本LGBTサポート協会
 

著書紹介

 
『結婚したければ選ばれる男になりなさい』
 
清水小百里 著(Amazonで発売中)
 
 
LGBTQ+の方の婚活に関する体験談や、カウンセラーとしての想いは、結婚相談所KMA公式ブログでも発信しています。  
 
あなたの「自分らしく生きたい」という気持ちに、私たちは全力で寄り添います。まずは、話してみませんか?