2025/8/10
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ゲイとして生きる苦しさと希望——学生時代の恋心と孤独を語った30代男性の体験談 |
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![]() 「誰にも言えなかったんです」 そう語ったのは、30代のゲイ男性。 ゲイであることに気づいた中学時代。 “普通の男子”を演じ続けた高校生活。 誰にも言えず孤独を抱えた大学時代――そして、姉の出産をきっかけに芽生えた「家族になりたい」という想い。 婚活カウンセラーが聞いた、30代ゲイ男性のリアルな体験談をお届けします。
私は埼玉で婚活カウンセラーをしています。 ある日、30代のゲイ男性が、勇気を出して自身の学生時代の話を聞かせてくれました。 彼は関東在住で工業系のエンジニア。穏やかな雰囲気の方ですが、その胸の奥には長年しまい込んできた想いがありました。 「これまで誰にも言えなかったんです」 そう前置きをして、彼はゆっくりと話し始めました。
性自認を意識し始めたのは中学生のころ。 同じサッカー部で、何でも話せる親友がいました。部活も放課後も休日も、一緒に過ごす時間はとても楽しかったそうです。 しかし、彼に彼女ができたと聞いた瞬間、胸を締めつけるような感情に襲われたといいます。 喜びよりも悲しみ、嫉妬、苛立ち…そして、はっきりと理由がわからない戸惑い。 「もしかして、俺はあいつのことが好きなのか?」 そう思ったとき、同時に「自分はおかしいのかもしれない」という不安が湧いたと話してくれました。 気持ちを伝えれば関係が壊れる――その恐怖から、感情を心にしまい込みました。
別々の高校に進学し、新しい環境でも「普通の男子高校生」を演じ続けた彼。 興味のない女性アイドルを好きなふりをしたり、恋愛話は適当に合わせたり。 「バレたら終わり」という思いが常にあり、人間関係はどんどん息苦しくなっていったそうです。 高校時代も親友とは時々会いました。中学時代の彼女と別れたと聞いたときは、胸が少し軽くなった気がしたけれど、その後すぐに新しい彼女ができたと知り、再び落ち込みました。 その感情を持て余し、少しずつ距離を置くようになったそうです。
大学では、あまり親しい友人を作らず、目立たない学生生活を送りました。 塾講師と居酒屋のバイトを掛け持ちし、休日は実家でゲーム。異性とも同性とも一度も付き合ったことはありませんでした。 「ゲイ同士が出会える場も知っていましたが、行く勇気がありませんでした。怖かったんです」 誰にも知られたくない、傷つきたくない。その一心で、無難な毎日を過ごしてきたそうです。
そんな彼にとって大きな転機になったのは、姉の出産でした。 里帰りしてきた姉の腕の中にいた甥っ子を抱いた瞬間、思わず笑顔がこぼれたといいます。 「かわいい…自分も子どもが欲しいかもしれない」 それまで一度も考えたことのない思いが、心に芽生えました。 しかし、「でも自分はゲイだから」という現実が、その夢にすぐ影を落としました。
この男性の体験は、決して特別なケースではありません。 ゲイやLGBTQ+の方の中には、誰にも言えない恋心や、自分を隠して生きる苦しさを抱えている方がたくさんいます。 「自分はおかしい」と思ってしまうのは、周囲の無理解がそう感じさせているだけです。 行動できなくても、カミングアウトできなくても、まずは自分を否定しないでほしい――それが彼の願いです。 「同じような悩みを持つ人に、少しでも寄り添えたら」 彼はそう言って、この話を締めくくりました。
婚活カウンセラーとして多くの方と関わってきましたが、この男性の話から改めて感じたのは、人が自分をさらけ出すまでの道のりはとても長く、そして勇気が必要だということ。 もしこの記事を読んでいるあなたが、同じように悩んでいるなら、無理に答えを出さなくても大丈夫です。 少しずつ、自分を認めてあげることから始めてみませんか。 未来はきっと、思っているより優しく迎えてくれます。
埼玉県さいたま市のLGBTQ+結婚相談所KMA・株式会社KMA 認定婚活カウンセラー 清水小百里
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